フィレンツエにも中央市場なるものがある。
観光客も多いので、はじめは観光客と間違えられ値段を吹っかけられたり、多く買わされたりした時もあったが、色々お店を試しているうちに、自分にあった八百屋、果物や、ハム・チーズ屋、魚屋、肉屋と見つける事ができた。
いつも行く八百屋は、他の八百屋に比べると種類は少ない。しかし、その分厳選された鮮度の良い、旬の野菜が置かれている。
この八百屋で買ったサラダを食べると、驚く。野菜の味がきちんとする。今まで食べていたものはサラダと書いてあるが、歯ごたえのする味のない食べ物?といった感じだ。
「今日の野菜のオススメは?」と聞くと、
「今日はとっても美しいブロッコリーが入って来てるよ。甘いんだ。あぁ、この人参は、あまり良くないね。少し苦味があるかな。このトマトはシチリア島から、こっちはローカルでトスカーナから。どっちも美味しいけど、サラダならこっちかな・・・」
と今日の野菜たちについて、色々と語ってくれる。珍しい野菜があると、そのレシピも教えてくれる。
そして、野菜以外にも、世間話から始まり、オススメの病院の話や夏休みの話などが始まる。
野菜はもちろん、パーフェクトだが、このおじさんと話をするのも、最近は楽しみになっている。
ある日私が、
「ここの野菜たちは5スターだね!」
と言ったら、
おじさんは、恥ずかしそうに、
「いやいや。4スターだよ。それで十分だよ。」
と答えた。
謙虚ながらも、自分の野菜に誇りを持っているレオナルドさんとその野菜たち。
そこに、私は何か惹かれるものを感じた。
そして、もう一人のレオナルドさん。こちらは、果物屋である。
フルーツはいつもここで買うと決めている。というのも、ハズレがないのだ。
購入する際に、必ずいつ食べるのかを聞かれる。
「今日食べる」と言えば、今日が食べごろの熟したフルーツを。
「明日、明後日」と言えば、明日、明後日が食べごろのフルーツ。
「1週間くらいかな」と言えば、半分は熟したもの、残りの半分はまだ熟してないものを選んで袋に入れてくれる。
ある日、メロンを買った時、おじさんが丁寧に食べごろのメロンを選び、匂いをかがさせてくれて、私がOKと言うと、メロンを軽くポンポンと撫でるように叩いて、袋へ詰めた。
自分の可愛がってきた子供を旅に出させるような、「元気でなっ!」という感じの愛情を感じた。だから、食する方も、その愛情をしっかり噛みしめて食さなければと思うし、期待も大きくなる。そして、期待を裏切らないのだ。本当にフルーツそのものが持っている、最高の甘みとバランスのとれた酸味がある。
日本の異様な甘さとはまた異なった、自然の甘さなのである。
八百屋のレオナルドさん、果物屋のレオナルドさんのお陰で、気持ちよく買って、気持ちよく食べることができる。単純なことだけれど、とても大切なことだと思う。そして贅沢な事だと思う。